【スポンサードリンク】

軽微な日常

警備員の日常から、思うこと、気になったことなど、いろいろ綴っていきたいと思います。よろしくお願いします!

「本当に財産くれるの?」その4

ようやくトイレから出てきたお婆さん


再びお話が始まる・・・

 


ウソかホントか分からないけど、どうやらこのお婆さん、この近くの土地をかなり持っているらしい


登記名義はすべて自分だと言っている


その財産の相続権は、自分には子供がいなくて、弟にあるという


でも、弟とは仲が悪く、譲りたくない


と、こんな内容だった

 


そしてついに出た!あのセリフ!

 


「あんた、こんなバーさんの話を聞いてくれていい人だねー。私の財産、全部とはいわないけど、あ

んたにやるよ」

 


(ついにきたーーーーーーー!!!!


あの辺の土地なら、税務署に行って路線価調べればだいたい分かるだろうけど、今なら坪単価60~80

万円くらいか?


何坪持っているか知らないけど、うん10億円・・・いやいや、うん100億円か!?


口約束も法的には有効なんだよ!


ふふふふふ・・・・・)


なんてことを考えながら、

 


「まぁ、お婆さん、今日は疲れただろうから、気をつけて帰ってくださいね!」

 


と、笑顔で見送った


お婆さんは、寂しそうにしながらトボトボと家路に着いた

 

 


そして、その翌日・・・


風邪をひいて寝込んでしまった私がいた


それからそのお婆さんは二度と現れない・・・


まぁ、一瞬でもいい夢を見させてもらったからいいか!


うん、ヨカッタヨカッタ!

 

 

 

【スポンサードリンク】

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に財産くれるの?」その3

それから、しばらくお婆さんと警察が話し合い、どんな結論に至ったかは分からないが、

 


「じゃあ、我々は帰りますので」

 


と言われ、警察は立ち去った

 


「お疲れ様でしたー。ありがとうございました」

 


うーん・・・でも、お婆さんはまだいる・・・


お婆さんは、きれいに掃除された不動産の玄関に目をやりながら

 


「はぁー・・・トイレに行きたいねー」


とつぶやいた

 


「トイレはビルの中にありますから、こっちですよ」

 


私は少しでも早くビルの中に案内しようとあせっていた


だって、寒いんだもん!


こっちは防寒着を着ているわけでもなく、冷たいビル風がビュービューというなかで、ずーと外にいるんですよ!


もう、早くビルの中に入りたくてたまらなかったんです


あぁ・・・それなのに・・・

 


お婆さんは、ゆっくりゆっくり歩く・・・


お話しながら・・・


(お婆さんは寒くないのか?)


とにかく寒い


ビルまであと15m・・・立ち止まって話す


ビルまであと10m・・・立ち止まって話す


ビルまであと7m・・・立ち止まって話す


ビルまであと5m・・・立ち止まって話す


(あーーーーー!!!!!寒いーーーーー!!!!!)


耐え切れなくなって、私は話の途中でビル内に駆け込み、

 


「トイレはこちらですよ」

 


と手招きをした


「あぁー、トイレだったんだねー」

 


(忘れてたんかい!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に財産くれるの?」その2

正月飾りもみかんもばらばらになってしまった


(うーん・・・

これは、器物破損の立派な犯罪だよね・・・

やっぱり警察呼ぶしかないか・・・)


[ここで、「警備員なら、婆ちゃん連れて警察に連れて行けばいいじゃない?」

と思われた方]

『警備業法 第8条 (警備業務の基本原則)

警備業者及び警備員は、警備業務を行うにあたっては、この法律により特別に権限を与えられているものではないことに留意するととも、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。』


となっています

まあ、簡単にいうと、警備員は一般人と何も変わらないっていう事なのです。ハイ・・・


ということで、お婆さんを無理にどかす事も出来ず、

「じゃあ、お母さん、警察呼ぶから、警察に話聞いてもらってね」

といって、私は無線で警察の要請をした

 

警察が来るまで私はお婆さんの話を聞いていた

どんないきさつで土地を取り上げられたのか?とか

周りに転がっている空き缶や生ゴミは、その辺から拾ってきたのと家から持ってきたのをぶちまけたとか

(掃除するのは不動産の人じゃなくて、我々警備員や清掃のおばちゃんなんだけど・・・

そんなことは、このお婆さんは分からない(悲))

 

そうしているうちに、警察がやってきた

警察も、相手がお婆さんだと知ると、無茶もできない

したがって、話を聞くだけになってしまった

お婆さんは

「私を刑務所でもどこでも入れろー!」

と騒いでいる


私は二人できた警察の一人に

「とりあえず、この正面玄関から移動してもらえば、掃除できるので、なんとか移動できませんか?」

と耳打ちした

その警察は

「そうですよねー・・・このままじゃねー・・・」

と言うと、ツカツカとお婆さんに歩み寄り

「さあ、お婆さん、ここじゃなんだから、ちょっと移動しようね」

と言って、お婆さんの両脇に手を入れて、ヒョイっと持ち上げた

(おぉー、さすが警察!警備員がそんな事したら、いくらお婆さんでもセクハラとか傷害とか言われかねないからね)


お婆さんは、警察に連れて行かれるかと思ったのか、

「さぁー連れてけー!刑務所に連れてけー」

と騒いでいる

しかし、3mくらいだけ移動させて、お婆さんを立たせた

お婆さんはキョトンとしている

わたしはすぐに、無線で清掃の要請をして、空き缶を集め始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に財産くれるの?」その1

3年ほど前の1月初め

まだ正月気分が抜けないころ

寒くて、ビル風がビュービュー吹き荒れていた日のこと


1Fの不動産の事務所の女性が、警備室へやってきた

 

「スミマセンが、どうしても正面玄関から座って動かないお婆さんがい

るのでなんとかしてください」

と、困った顔をしてやってきた

その時は、たまたま私一人しか動ける警備員がいなかった

(動かない?動けないの間違いじゃないの?)

そんな事を考えながら、不動産の正面玄関前へと向かった


着くと、たしかにお婆さんが座っている

でも、なんか様子がおかしい

そのお婆さん、防寒対策でいっぱい着込んでいるのは分かる

しかし、なんだか、一見浮浪者のような感じだ

お婆さんの周りには、空き缶や生ゴミが散乱している


そして、そのお婆さんの手には、よれよれの紙


なんとか読もうと思えば読む事のできるキタナイ文字が書いてある

 

『私はこの不動産屋にだまされた絶対に許さない』

というような内容の文章がつづってあった


「お母さん、どうしたの?ここ寒いでしょ?」

私は声をかけた

「私はね、ここにだまされたんだよ!私の土地を取り上げられたんだよ!」

と、今にも泣き出しそうな悲痛な声で私に訴えてきた


不動産の人間は誰も出て来ない・・・何故?

(身なりは貧乏そうに見えるけど、本当はお金持ち?

それとも、土地も家も取り上げられて一文なし?

なんだか分からない

だけど、このままにしてはおけない)


ということで、

「お母さん、このままここにいると、警察呼ばれちゃうから、とりあえず向こうに行こう」

と言うと

「なんだい!あんた、警察じゃないのかい?」

(確かに警備員の格好は警察によく間違われる)

「はい、私はここの警備員なんですよ」

 

「誰が来ても、私はここを動かないよ!

警察でも何でも呼びなさいよ!

私は刑務所に入る覚悟でココにいるんだ!」

 

と言ったかと思うと、正面玄関に飾ってあったみかん付きの正月飾りを

引き剥がして、床の上に叩きつけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネコも必死なの・・・」その4

とりあえず、捕まえるのではなく、外に追い出せばいいから

と2人駆けつける

追う警備員

逃げるネコ(あぁ・・・3匹バラバラだよ・・・)

追う「バタバタ・・・」

逃げる「トトト・・・」

追う「ドタドタ・・・」

逃げる「ポテポテ・・・」

転ぶ「ゴロゴロべしゃ!」

逃げる「ランラン・・・」

追う「ゼーゼーハーハー・・・」

車の下にもぐる

棒を持って車の下をかき回す

(高級車にキズを付けないように優しくネ!)

そして・・・

警備員ギブアップ!!

WINER、ネコ!!!!!「にゃおーん!」

(カーン!試合終了!!)


それからどうなったか・・・

毎晩の追いかけっこの末、1度は警備員がネコ1匹をズボンを破りながら

のスライディングキャッチアンドネコに引っかかれーので、手足血だら

け事件もあったが

ネコも学習したんだろう

「ここに入ったら、追いかけられて、嫌な思いをするんだ」ということ

それ以来、駐車場には入ってこなくなった・・・

きっと別の場所の車のボンネットの上で、暖をとっているのだろう

その車の持ち主が、ネコ好きの優しい人であることを切に願う・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネコも必死なの・・・」その3

ネコたちには大変申し訳ないが、クレームがでた以上は、駐車場に入れるわけにはいかない

その後の確認で、他3台の車のボンネットにもネコの足跡があったからだ

足跡だけならまだしも、爪を研いだ跡なんかついたときには、こちらの管理責任も問われかねない

なにせ、高級車のオンパレードなのだから・・・


さて・・・どうしよう・・・

ネコ一家ご一行様が入ってくる時間はマチマチということがわかった

駐車場の出口、入り口で、この寒い中二人もご一行様を待って待機するわけにもいかない

(通常業務もあるからネ!)

結局は、モニターチェックをして、入ってきてからなんとかするしかない

という結論に至った

そしてその夜

モニターとにらめっこする私

ジーっと・・・

ジーっと・・・

ジーっと・・・

ジーっと・・・

ジーっと・・・
 ・
 ・
 ・
zzzzzz・・・・

おっとー!
 ・ 
 ・
 ・
23:32

「キターーーーーーーーーーー!!」

あぁ・・・でも他の警備員は巡回中・・・

誰もいない・・・

(警備室は必ず誰かいなければなりません

24時間 365日

緊急対応の本部になるからしょうがないんです)

で、

無線連絡

「みなさーん!ご一行様入りましたー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネコも必死なの・・・」その2

まずは、監視カメラチェック!!

駐車場の入り口、出口、そのテナントの駐車スペース付近の様子を見るべく、録画を前日に巻き戻した

チェック!

チェック!

チェック!

チェック!

チェック!

 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
「いた!!」

夜00:23

駐車場の出口から、トトトトト・・・と入ってくるネコ・・・ネコ・・・・ネコ・・・・

あれ?3匹?・・・

「あ!!思い出した!!」

3ヶ月ほど前のこと

外の植栽で、ノラネコが子供を3匹産んで母ネコのお乳をおいしそうに飲んでいた様子を思い出した

(母ネコと合わせて4匹だったのに、3匹しかいないということは、1匹死んじゃったのかなぁー可哀想に・・・)

なんて感傷にひたっている場合じゃなかった!!

その30分ほど前には、洗車してピカピカになっている、例のテナントの車が入庫してきている

ということは、車はまだ温かい

ネコはあったかいボンネットLOVE!っていうことなのね


朝06:38

ダーっと3匹は出口から出て行く

(あー、朝食か・・・)


このネコたちを

「私が育てているのよ!」

と勘違いしているオバチャンが、毎朝ビルの敷地内にネコのご飯をばらまいて行く

発泡スチロールトレイを持って来ては、缶詰ネコご飯をのせて行っては、片付けることを知らない

水も同じ

次々と家からトレイをもってくる

そして敷地内に放置する

風で飛ぶ

道路へ飛ぶ

でも、オバチャンは

「私はネコたちがかわいそうだから、休みの日にも来て、ご飯をあげているのよ!」

と語る

(だったら連れて帰れよ!ゴミ、家から持ってくるなよ!)

と言いたいのだが、超強力なオバチャンなので、その話はまた今度・・・