「裸のオヤジにひざまくら」その2
先ほどの様子からは、とても考えられないような変身をとげた土建屋オヤジがそこにいた
上半身の服を脱ぎ捨て、サンダルはあらぬ方向へと飛んでいる
財布とタバコ、ライターも、あっちこっちへと散らばっている
「オラっー!ふざけんなー!」
と、フラフラしながら、わけのわからないセリフを吐いている
ちょっとでも近寄ろうものなら、酔拳のパンチが飛んできそうな上半身の動きである
わたしは、「あらら・・・オヤジ変身しちゃったよ・・・しょうがないなぁ・・・」
と思いながら、床に散りばめられたオヤジの変身セット一式を拾い上げた
「お父さん、これ、落としてますよ」
わたしは、オヤジから3歩ほど離れて、変身セットを差し出した(危ないからね!)
(わたしは、以前、飛び込みの営業をやっていたので、どんなにおじいちゃんでも「お父さん」どんなにおばあちゃんでも「お母さん」というクセが身に染み付いている)
「ほら、お父さん、カゼひくよ」
「うるせー!なにが○*#$ЩЭ・・・」
(あぁぁぁ・・・もうなに言ってるのかわからない・・・)
(もう、しょうがないなぁ)
とロビー内から連れ出そうと思い、オヤジの変身セットをベンチに置いたときである
もう一人の警備員T氏が、オヤジの真正面から
「お前は何をやってるんだー!」
と怒りで、顔を赤くさせながら向かっていった
その光景を見て、わたしは思わず叫んでしまった
「あっ!!!!!???」