「素早い杖さばき 」その1
たまにやってくるじーさんとの初対面でのお話
またまた立硝中
よく、お年寄りとか、足に怪我をしている方は、杖をついて歩いています
今どきの杖は、ゴム付で音で(あぁ、杖をついた人が来たな)って聞き分けることができます
音的には、「トン・・・トン・・・」とゆっくりです
あとは、目の不自由な方ですと、前方を確認するように歩きますので
音的には「カツっ、カツっ、カラカラ・・・、カラカラ・・・、カツっ・・・」(カラカラは床の上を杖の先端が転がっている様子)
と、こんな感じですかね
それが、この日のこと
私の右方向から
「カカカカカカカカカ・・・」
と1秒間に3回ほどの早いペースで、しかも木の棒で床を叩いているような音が近づいてきた
聞きなれないが、きれいな一定のリズム音
「カカカカカカカカカ・・・」
(何だ!?)
と思い、音の方向を見てみると、木製の杖を、なんとも忙しく左右に動かして歩くじーさんが近づいてきた
(なんだ!?この素早い杖の動きは!?手首のスナップがきいてるじゃん!!ただ者ではない!!)
しかも歩くのもやたら早い!
この杖の意味は?
だって、ものすごく元気そうなんだもん
「カカカカカカカカカ・・・」
私の前を横切っていった
ピンときた私の第六感
なんか怪しい・・・
まー誰でも分かるんですけど・・・
だって、格好はオフィスビルには目立ちすぎる浮浪者風の汚い靴と服
穴の明いた汚い軍手
真っ黒な顔に無精ひげ
じーっと、じーさんの後を目で追うと、扉を出てジュースの自動販売機のある方へ行った
すかさず、じーさんの行った方へ向かうと
「カンカンザシュザシュカンカンカンザシュ・・・・」
何の音だ!?じーさん何を始めたんだ!?