「茂みの中の男」その2
酔っ払いのようでもない
精神がいかれているようでもない・・・
何の目的が?
「あのー、どうかしました?」
わたしが尋ねると、そのおかしな男は、どこかあっちの方向を見つめながら
片手でシッシッっと、野良犬でも追い払うようなジェスチャーをする
そんなことをされても、「はい、分かりました」と引き下がるわけにはいかない
「いや、通る人がみんな気味悪がっているんですよ。出てきてくださいよ」
と言うと、男はまた(とっととあっちに行け!)といわんばかりにさらに強く手を振る
「ここは、当ビルの敷地内ですので、このままここにいるのなら、警察を呼びますよ!」
わたしがそう言うと
男は、わたしを手招きした
(何だろう?)
わたしは、おそるおそる男に近づいた
すると、男は自分の胸ポケットに手を入れた
(やばい!刃物か!?)
わたしはちょっとビビリながら身構えた
男が胸ポケットから取り出したのはなんと!
『警察手帳だ!!』
(あれまー・・・張り込みだったのね・・・(汗))
「失礼しましたー」
わたしはすごすごととの場を後にした
(それにしても、あんなに目立つ張り込みもないだろうに・・・)
(通りすがり人が、みんな見ていったら、張り込みしている相手にも気づかれるんじゃないのかなぁ・・・)
などとは、とても言うこともできず、ロビーに戻った
それから・・・
たびたび
「あそこの茂みに・・・・・」
と言われて、返答に困るわたしがロビーに立っていた・・・