「茂みの中の男」その1
ある日の夕方のことである
私がロビーで立硝していると、
「すいません」
と若い女性に声をかけられた
このビルのテナントの女性だ
「はい、どうしました?」
と答えると
「向こうの茂みに変な男がいるんです。見に行ってもらえますか?」
と言われたので、外の植栽を見に行った
(あれ?誰もいないなぁ・・・もういなくなったんだろう)
そう思って、またロビーへと戻った
1分後・・・
「警備員さん、向こうの茂みに変な男がいるんですけど・・・」
と、また別の女性に言われてしまった
「さっきも、そう言われて見に行ったんですが、どのあたりですか?」
「あの辺です」
と、女性が指を指した方向は、やっぱりさっき見に行った場所だ
(おかしいな・・・オレだけ見えないの?)
と首をかしげると
「茂みの中を確認して下さい!中に隠れているんですよ!」
「え!?」
そして、再度茂みの方向に目をやると、確かに通りすがりに気づいた人の驚いた表情
指を指してひそひそ話しをしている様子が分かった
(はぁ・・・あそこか・・・)
わたしはおそるおそる、その茂みに近づいた
茂みの中には、緑のウインドブレーカーにグレーのスラックスをはいた50歳位の男がたしかにいた